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ファクトチェック!:ゴールデンカムイのヒグマ

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(「子育てネットワークさが」にのった記事を許可を得て転載) 最近、漫画ゴールデンカムイの人気と実写化によって、アイヌ文化への関心が高まっています。ヒグマも再三登場し、いいアクセント?になっています。ゴールデンカムイはかなり過激でクセの強い作品ですが、アイヌ文化や北海道の自然の説明はとても正確なので、漫画を読みながらアイヌや北海道について勉強になります。 今回は、ゴールデンカムイに出てくるヒグマの生態やアイヌとの関係について幾つか取り上げて解説したいと思います。ネタバレになるので、関係するヒグマのシーンのみを取り上げストーリーについては触れませんが、ネタバレ嫌な方は原作を読んでから、スクロールしてください。 獲物を雪に埋める(1巻1話) ヒグマに襲われた刺青囚人が内臓を喰われて雪に埋められています。 ヒグマは自分の獲物を一度に食べ切らずに、土や雪に埋めて時間をかけて消費します。恐ろしいですが、リスによるドングリ貯食のようなものです。こうした状態を土饅頭と呼びます。この習性はツキノワグマとアメリカクロクマでも見られます。埋めることで死体を食べる他の動物から見つかりにくくするメリットがあります。 埋められた囚人の死体を杉本が掘り出したことで、そのヒグマが取り戻しにきます。ヒグマは獲物への執着が強いので、土饅頭にイタズラすると攻撃されることがあります。自分のサークルでも、エゾシカの死体を見つけたら近づかないことを徹底していました。 有名なヒグマの人身事故はこの執着心が原因とされています。最大の獣害として有名な三毛別ヒグマ事件では、一人目の被害者を掘り出して埋葬したことで、ヒグマが死体を取り戻しにきたと言われています。 日高山脈で起こった福岡大学のワンゲル襲撃事件では、一度ヒグマが奪ったザックを取り戻したことで、執着的な攻撃に変わったそうです。今はこうした習性は有名になり、ヒグマに奪われたモノを取り戻すのは危険だと周知されていますが、当時はそんな知識はなかったでしょう。 埋められた囚人 (野田サトル、ゴールデンカムイ1巻1話) 穴持たずのヒグマ(マタカリプ)(1巻1話) 冬眠せずに冬も徘徊するヒグマを「穴持たず」と呼びます。穴持たずの生態はよくわかっていませんが、気性が荒くなっていると言われています。ヒグマを題材にしたアニマルパニック小説「シャトゥーン:ヒグマの森」でも凶暴化...