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受賞講演で何を話すか?

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今年度の生態学会で若手奨励賞(鈴木賞)を受賞した。受賞者は大会で記念講演をするのだが、内容は研究自体の話、裏話、キャリアの話、関係ない話など各人で違っていて面白い。 私の受賞講演では研究を始めたパーソナルな経緯や何を考えてきたか、など研究の裏側を話した。講演のシナリオを練る際に、自分のこれまでの研究を1本のストーリーにするとどうなるのかをよく考えてみた。 メモ、最近PCから離れて手書きで研究を考えることが増えた。 余計な情報が入らないのでおすすめ。お気に入りのノートとペンで 上のメモは夜の10分間くらいでスラスラと書いた。これまでの私の研究は「学生サークル→指導教員の気まぐれ→テーマ探し迷走→フィールドで頑張る→論文を頑張る」というパーソナルなストーリーとして綺麗にまとめることができた。改めて私のキャリア初期は研究背景がないことを実感した。式典で読み上げられた受賞理由も「富田氏は****で粘り強く取り組み、***で粘り強く」と自然薯並みの粘りを見せたことが評価されており、講演内容とマッチしていた。自他ともに私の研究はパーソナルストーリーとして語るのが向いているということなのだろう。(最近スマートな研究者ぽいと自惚れてたが、まあ泥臭いんですね。) 受賞講演をどう使うかは、受賞者次第だ。自分の研究を知ってもらいたい・共同研究に発展させたい・就職に向けた演説・聴衆への問いかけなど様々である。いずれにせよ、今回の受賞はこれまでの研究道を振り返る良い機会だったし、定期的に応募していきたい。

レビュー論文が受理されるまでの道のり

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12月20日に自身初のレビュー論文が受理された。若い時代にレビューを書くことが目標だったので嬉しい 10.1016/j.tree.2024.12.011 画質が荒い この論文が受理されるまでの経緯を紹介したい。 学会での集会開催→国際学会で共同研究者発見→論文執筆という流れは典型的かもしれないが、色々と良い経験ができたので、長文だが紹介する。 2022年3月:生態学会での自由集会 2022年の生態学会で「 地上部と地下部の相互作用における動物の役割 」という自由集会を企画した。トピックはお気に入りの地上ー地下相互作用。学部時代に読んだ「地上と地下のつながりの生態学(深澤ほか訳)」という本に影響され、興味を抱いていた。 集会の目標は「議論内容に基づき総説を書く」。雑誌名を聞かれた際には迷わず、Trends in Ecology Evolution (TREE)と答える。共同企画者に目標は高い方が良いと言われたからである。 オンラインだったが90人くらい参加、各発表者も興味深い研究を紹介してくれた。自分からは分野の概観を紹介した。オンライン懇親会では、1時間くらい総説のアイデアをぼんやりと議論した。 集会後の議論だけで論文になる程具体的な話し合いができなかったのと、大学にポストを得たのもあって、しばらく寝かせることに。教員1年目は暇だったので、ボチボチ書いていたがまとまる気配はなかった。 2023年7月:国際学会での出会い 2023年にアラスカで開催された国際哺乳類学会IMCに参加した。初の国際学会だったが、ポスターの持ち運びがめんどくさくて、口頭発表することにした。 哺乳類を対象にした群集生態学のセッションで発表した。トップバッターだったが、朝早いのもあり30人くらいしか聴衆がいなかった。"Have you ever eaten insects?"と質問してみるも、あまり笑いを取れず。。。司会者は苦笑いしてた。 自分の後に、「永久凍土の融解によってネズミの生食・腐食食物網への依存度が変わる」という発表があった。「これは地上地下相互作用だ!、しかも哺乳類!」と激アツだったので、セッションが終わった後に発表者に突撃して、質問したり色々議論した。そこで連絡先を交換。 自分の研究にも興味があったらしくたくさん質問してくれた。同じセッションの者同士、お互いの...

研究者ネームの変遷

学生時代:Kanji Tomita 結婚後:Kanji M. Tomita  改姓したのでハイフンで繋げるかどうか考えた末に、ミドルネームに新姓を入れることに。ミドルネーム自体は、旧姓などをつけることが多いらしいけど 2024年10月〜:Kanzi M. Tomita 実は名前の由来が天才ボノボのカンジである。彼はKanziと表記されていることに最近気づいたので論文内の名前をKanziにしようという思いつき。論文的にはTomitaとしか扱われないし、イニシャル変わらないから良いだろう。 この場合、カンジというよりカンヅィとなるようだ。ちなみにKanziはスワヒリ語で「埋もれた宝」を意味するらしい。流石にこれ以降は変わらない気がする。

観察・実験・数理モデル

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最近、植物の繁殖生態学を調べている。動物も面白いけど、自然史的視点で調べるなら、予想外の生き様を見せてくれる植物の方が面白いと思っている。 両性花をつける、ある昆虫媒の植物において、雄花が雌花の先に出てくる(雄性成熟)程度によってどれだけ結実率が変わるのか、という植物生態学的に基本的な問いを立てて、予察的データを取った。 開花期のある期間に150個体をマーキングし、その時点の性別を調べる。 その際に、すでにメス化している個体と、まだオスの個体を記録する。 その意味では雄性成熟というより、早くメスに変わる効果を見ている? 結実期に、結実状況を調べる。 結果、左がメス化している個体、右がオスの個体 カテゴリは見た目から判断した成功の指標。 緑と紫が失敗、赤と青が成功 すでにメスになっている、つまり雄性成熟した個体とそれ以外では繁殖状況に特に違いがなさそうという結果が得られた。 雄性成熟した花は、他よりも先にメスになるので、周りのオスから花粉をうまく受け取れるのではないかと予測していたが、繁殖状況は変わらなさそうだった。 花粉親になれりやすいのは雄のままの花なので、先にメスになった方がいいとは限らない。 直感と反する結果になったのは何故か? 全体の性比を見ていないので、マークした個体以外のフェノロジーがズレており、花粉を受け取れた。 他のパッチから花粉が運ばれてきた。 1個の雄花が複数の雌花と受粉した(虫媒なのであり得る)。 自殖した。 調査の直前はすべての花がまだオスだった(何らかの理由で半数が一気にメス化した) 直感的には、予測通りにいきそうだが、これらの理由によって影響がなさそうな結果になった。 さて今年はどうしよう? これらを一つ一つ検証する? 別の問いを立て、また調べる? 生活史研究は沼るな。。。楽しいけど 何を言いたいかというと・・・・ これまで野外観察データを使って研究してきたが、かなり大規模な(派手な?)動物の行動を対象にしてきたため、観察だけで生態的な意味をきちんと考察できていた。 こうした経験から、私は実験や数理モデルによって研究する意味が分かっていなかった。なぜ非現実的な条件や仮定を作らないと見れないような現象をわざわざ検出するのか? 特に、実データがない状況で組まれた実験や数理モデルって何の意味があるのだろうか?と思う時もあった。(数理や実験の予測...

どうして九州には熊がいないのだろう?(子育てと文化ネットワークさがに乗った記事)

せっかく頑張って書いたのに(以下略) クマはどこにいるのか? クマ(クマ科 )は8種類いて、世界の広い範囲に暮らしています。広い範囲で見られるからといってたくさんいるわけではなく、ヒグマとアメリカクロクマ以外のクマ(パンダやホッキョクグマ)は国際自然保護連合 の絶滅危惧種に指定されています。一番広い範囲に住んでいるのはヒグマで、ユーラシア大陸・日本・北米で見られます。日本では馴染みが薄いメガネグマは、南米のアンデス山脈に暮らす唯一の南半球のクマです。みんな大好きパンダは、中国の山地の狭い範囲で暮らしています。動物園でしばし着ぐるみと間違えられるマレーグマは、その名の通りマレーシアやインドネシアなどアジアの熱帯域で暮らしています。現地では割と身近らしく、インドネシアの大学を訪ねた際、キャンパスにマレーグマが出たことがあるよ、と現地の研究者が教えてくれました。ツキノワグマは、日本・台湾・ロシア東部、中央アジア各地に生息しています。日本人には意外かもしれませんが、世界的に見ると個体数が少なく絶滅危惧種として保護対象になっています。 地域や時代によるクマの状況の違い 生息範囲が広く、人との関わりが強いクマは、地域や時代によって生息数や絶滅の危険度が違います。そのため、地域や時代によって保護のスタンスが違います。日本のツキノワグマの場合、かつては本州・四国・九州に生息しており、50年前くらい前は特に保護されていなかったようです。1980年代くらいから、各地で狩猟禁止による保護が進みました。この頃は、自然保護論が盛んになってきた時期であり、北海道のヒグマの保護政策も1990年に策定されました。1990年代には、環境省が指定する「絶滅の恐れのある地域個体群」に、下北半島、紀伊半島、東中国、西中国、四国、九州のツキノワグマが指定されました。地域個体群は、ツキノワグマの遺伝子の違いに基づいて決められています。遺伝子の違いで分けることで、数を維持するだけでなく、遺伝的な豊かさも保ちながらクマを管理できます。 絶滅の恐れのあるツキノワグマ地域個体群 絶滅の恐れのある地域個体群の内、四国以外では分布が広がっており、特に東中国と西中国では出没や人身事故も起こることから、上限を決めて有害捕獲しています。四国では個体数が極めて少なく(20頭前後)、捕獲は禁止されています。四国はツキノワグマが暮ら...

私とクマ(子育てと文化ネットワーク佐賀に掲載された記事)

子育てと文化ネットワーク佐賀に掲載された記事の転載。許可は得ている。 頑張って書いたのに、読者が限定的な媒体に載せられたのが残念なのでブログに転載した。 ヒグマ研究グループ 高校卒業後、大学進学のために北海道札幌市に引っ越しました。大学ではヒグマ研究グループ(以下クマ研)という、北海道各地でヒグマを調査するとてもユニークなサークルに入りました。クマ研は1970年にヒグマを見たい!という大学院生が立ち上げた学生サークルで今も元気に活動しています。クマ研の大きな活動は、北海道各地でヒグマの痕跡(フン・足跡など)を記録する調査、樹木のない高山帯での直接観察調査です。ヒグマのフンを見つけると1万円札を拾った時のように大喜びし、ヒグマと遭遇した時は恐怖と興奮が入り交じった気持ちになります(興奮が上回ることも)。直接観察調査では1ヶ月もテントで暮らしながら、離れた場所からクマを探します。クマが見れないとただのテント生活になりますが。ちなみにサークルではヒグマ漬けの日々でしたが、実際の学部は理学部で地質学を専攻していました。1年生の成績で専攻を選べるルールだったのですが、サークル活動が忙しかったため成績が振るわず、嫌々地学を専攻することになりました。 ヒグマを本格的に研究する 岩石の研究は思ったより楽しかったですが、やはり石を砕いているだけでは野生動物への情熱は満たされなかったので、大学院からヒグマの研究を始めました。世界自然遺産の知床半島では、ヒグマが地面を掘ってセミ幼虫を食べるという面白い話を聞いたので、ヒグマのセミ食い行動を研究することにしました。ヒグマのセミ食いは他の地域で全く報告されてなかったので、まずはヒグマのフンをひたすら集め(特技?)、セミ幼虫を食べるための掘り跡やセミの羽化数を記録しました。調査方法は原始的で、毎日森に出かけて、フンを探しながらセミの抜け殻を集め、掘り返されている場所を記録するといった感じです。これを合計2カ月くらい繰り返しました。主な発見としては、①ヒグマは2000年くらいからセミ幼虫を食べるようになった、②ヒグマはマツの人工林でセミ幼虫を食べている、③天然の森よりもマツの人工林の方がセミが沢山いる、の3つです。マツの人工林は戦後に人が作った新しい場所なので、ヒグマのセミ掘り行動は、新しい場所でエサを取ることを学習した結果生まれたようです。研究...

How do you split into or combine with your data to make research paper?

はじめに 仮説検証型の研究をおこなう場合、取得したデータのほとんどを使って仮説を検証し、論文を執筆する。 だがしかし、実際のフィールド研究ではとりあえず目的を設定して、データを取ってから、ストーリーを考えて論文を書くことが多い。表向きは仮説検証のように見せかけている論文も実際は後付け仮説検証になっていることが多いだろう。 そのような場合考えなくてはいけないのは、手元のデータをどれくらい、どのように使って論文を書くかである。手元に5個の関連しあった図がある場合、 すべて使って1本の論文を書く 2個・3個使って2本書く。 1個づつ使って5本書く。 など様々な選択肢がある。この組み合わせと数を決める作業は実はとても大事である。冗長にデータを使ってしまう、たとえば図を増やしても論文のメッセージが変わらない場合、折角3本分の論文になるデータ達が1本にしかならないことがあったり、データ総動員すれば素晴らしい論文になるのに、小分けにした結果、引用されないような小さな論文が沢山生まれるだけで、ハイインパクトな論文を世に残すチャンスを逸してしまうこともあるだろう。 てことで今回は、仮説を持たずに蓄積してしまったデータをどのように切り分け・組み合わせて論文を作っていくべきかについて、筆者の体験を踏まえて考えていきたい。 実体験 修士1年から博士1年の3年間、「セミ幼虫を食べるヒグマ」という面白そうな自然現象に注目し、地道なフィールドワークによってデータを集めてきた。博士1年の途中から論文を書き始めたのだが、修士のころは自分の取ったデータで論文を書くということを考えてなかったため、頭の中には「この現象を理解するためにデータ化したい!」ということしかなかった。仮説を考えずにシンプルな行動原理のみで動いていたこと・じっくりと観察してから調査方法を考えたことが幸いしてか、割とたくさんの興味深いデータが明確な方法に従って集まった。なので、うだつが上がらない修士時代に比して、D1から複数の論文を書き始めることができるという割と充実した状態にあった。 どのようにデータを分割・結合して論文を書くか、について選択肢は2つあった 全てのデータをまとめて、ヒグマのセミを食べる行動について網羅的な論文を1本だけ書く。 データを基に後付け仮説・目的をいくつか造り、それに従ってデータを分割・組み合わせ複数の論文を...

ドキュメンタリー映画「東京干潟」の感想

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ドキュメンタリー映画「東京干潟」(監督・製作村上浩康さん)の感想。 HP(https://higata.tokyo/)より転載 この映画は、多摩川の河口干潟でシジミ捕りで生計を立てているホームレスのおじいさんが主人公のドキュメンタリーだ。おじいさんは川の土手の小屋で15匹の猫と暮らしており、ほぼ毎日干潟でシジミを5㎏くらい獲って、それを売った金で食事と猫のエサを買っている。貯金はなさそうで、その日暮らしの生活スタイルである。 映画は基本的におじいさんのシジミ捕りと村上監督との対話形式のインタビュー、かわいいネコ達、時々カニから成るとてもシンプルな内容である。前半はシジミ漁を中心に、おじいさんの一日の生活の様子が描かれている。大きいシジミのみを捕まえるためのシジミ漁法を開発しており、泥に手を突っ込み、指を開く間隔を調整することによって、大きめのシジミだけを捕まえている。さらに、捕まえたシジミを粗い目のざるに通して、ざるにかからない小さいシジミを取り除いて、河に返している。「大きくなって帰ってこーい」と言いながらシジミを川に投げる姿は、自然と共生して暮らしていくことを本当に大事にしていることが感じられる、前半の見どころである。 猫については15匹すべてに名前を付けており、区別もできているらしい。子猫の時に家出して3年後に戻ってきた猫のことも覚えているほど猫識別が熟達している。おじいさんが住んでいる場所は猫を捨てに来る人が多いらしく、時々捨てに来た人に注意したりしているらしい。収入が少ないにもかかわらず、ここまで猫の面倒見る理由を聞かれても「そんなものはなくて、猫たちには生きる権利がある」と言い「こいつらが生きているうちは俺も死ねねぇんだ」という発言には、猫への深い愛情が感じられる。 ほのぼのしている前半と変わって、後半は割とシリアス(といっても淡々としている)で、東京オリンピックのための道路拡張に伴う橋の建設による干潟地形の改変や、漁師によるシジミの乱獲などがおじいさん視点で描かれる。また、テレビなどで多摩川河口の干潟が取り上げられ有名になってしまい、市民が沢山潮干狩りに来るようになったことも士事務減少に関わってそうだという。決して製作者の意図をもって批判的に見せることはなくて、あくまでもおじいさんの口から開発や乱獲への思いが語られる。漁協とは結構ケンカしたらしいが、橋...

【超長文】ナチュラルヒストリー研究の社会的インパクト-Altmetricsに注目して-

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普通、学術論文は引用数がその価値を表す数値とみなされるが、引用数は出版後の長い時間かけて増えていく。しかしせっかちな我々は研究のインパクトを早く知りたい。てことで短い期間でのインパクトの指標としてAltmetricsが使われている。簡単に言えばAltmetricsは、SNSやWikipediaなどWebメディア上で論文がどれくらい話題に上がったか、どれくらいダウンロードされているか、などをメディアのタイプごとに重み付けしてスコアリングした指標である。ま、俗っぽい言い方をすると、研究の「バズり」の指標ですね。 論文そのものの学術的なインパクトを直接表しているわけではないが、インパクトがある研究は社会的にも目立ちやすいから、引用数とはおおまかには相関するらしいです。また、SNSやニュースでは出版直後がもっとも話題に上がるので、 出版後すぐに伸びるAltmetricsは出版後時間をかけてじわじわと伸びている「引用数」と相補的な関係 にあると考えてもいいでしょう。しかしながら、「SNSでバズる研究=学術価値の高い論文」とは限らないので、Altmetricsを引用数同様に解釈することは安直です。あくまで社会的なインパクトという解釈に留めるのが、適切な使い方だという指摘もあります。 Altmetricsに影響する学術的インパクト以外の要因としては、著者がSNSやっているかどうか(Wardle 2016)・分野(Costas et al. 2015)などもあるみたいです。分野間でジャーナルのインパクトファクターの平均が違うことと同じ理由なのでしょう。著者がSNSでアクティブかどうかは確かにAltmetricsに影響しそうですが、SNSのリツイートやシェアはスコア配分が低いので、100オーダーのスコアの場合はそれほど関係ないかもしれません。 このように、一見将来の引用数を反映しているように見えるAltmetricsは、実はそれ以外の要因によっても変わることが分かってきており、 Altmetricsスコアは学術的なインパクトを反映するのか?という研究テーマ が近年爆誕したらしいです(Costas et al. 2015)。最もシンプルなものとしては Altmetricsスコアと引用数は相関するのか? といったクエスチョンを調べるようです。 学術的インパクト(引用数)と社会的インパクト...

生態学会2021 with オンラインの振り返り

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 2021年3月17日~21日に第68回生態学会岡山大会が開催されました。岡山大会ですが、コロナ対策のために完全なオンライン開催です。実行委員会に岡山大学の方が多かったことが唯一の岡山色でした。現地でキビ団子食べたかったな~。実行委員会の皆様、大変な状況の中にも関わらず、とても楽しい学会を作ってくれて本当にありがとうございましたm(_ _)m 他の大きめの学会はシステムエラーなどでうまくいってないと聞いてたので不安もありましたが、実行委員会の皆様のおかげで大きなトラブルなく無事に終了しました。成功した要因としては、学会サイドはあくまで会場を準備・提供する役割を担うことに徹し(それだけでもめっちゃ大変だと思う。。。)、個別の発表については発表者に任せたことに尽きると思います。 自分はポスター参加だったので、オンラインポスターを中心に振り返ります。 発表者はConfitというシステム上に個人スペースを与えられて、コアタイムのズームリンクやポスターのアップロードは発表者が自分で用意するというスタイルでした。オンライン化してから1年くらい経っているので多くの人はズームやファイルアップロードに慣れてきたと判断して個人に任せれると考えたのでしょうか。これは素晴らしい判断で、オンラインポスターでうまくいってない人はほとんどいないように感じた。もちろん、失敗した人もある程度はいるだろうけど、対面でもポスター忘れたりする人いるし。。。 個人ページの例、真ん中に要旨 左に各リンクに飛べるタブ・右にスポンサー企業 Confitというシステムは初めてだけど、シンプルで使いやすいのが利点だった。シンプルながらも、自分が聞きたい講演リストを作れる「スケジュール」やSNSのような「いいね!」など、オンラインならではの機能が使えることが良かった。自分の講演に「いいね!」くれた人が見れるので、ポスターを見にきてくれた人を確認できるようになった。 コアタイムは知り合いが3人しか来なくて残念だった。2日目のコアタイムに聴き手として参加してみて感じたが、知らない人が待ち構えているズーム部屋に入ることは割と勇気がいる。対面であればポスターの横にプレゼンターが居るので{コアタイム中にポスターを読む(≒近づく)=プレゼンターと目が合うー> ポケモンバトル 「説明しましょうか??」}の流れだが、オン...

2020年の学振についてPart2

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 Part2 2021/4/1追記:2022年度申請書はまたフォーマット変わりました、このポストの内容はそこまで参考にしないで下さい。ただ「業績が羅列でなくなった」「計画が短い」「コロナ対策」「プレプリントについて」などは2022年度版でも大切なので参考になることがあるかもしれません。新しい学振申請書の書き方については、Kimさんのブログが参考になります。 リンク: https://kimbio.info/gakushin-dc-2022/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フォーマット・採点項目が2020年から変わった話。 2020年から学振のフォーマットが大きく変わった。個人的には、この改変は大賛成である。なので以下は賛成派としての意見です。このポストでは、2021年度申請書の改変の理由や対策について考察してみる。 1.業績欄が羅列式でなくなった。 2019までのいわゆる「業績欄」が「4.【研究遂行能力】」として、単なる業歴の羅列ではなくて、それぞれの業績の詳細を書くことが求められた。共同研究の業績であれば、自分の担当を明記せよという感じの要求だろう。ちなみにこの方式は現在の科研費フォーマットとほぼ同じである。 「5.【研究者を志望する動機、目指す研究者像、アピールポイント等】」が長くなり、 「② その他、研究者としての資質、研究計画遂行能力を審査員が評価する上で、特に重要と思われる事項(特に優れた学業成績,受賞歴,飛び級入学,留学経験,特色ある学外活動など)」 という要求が消えた。4・5の改変により、この②は、2020年からは「4.研究遂行能力」に書くことが求められた。”5”には、受賞や成績などを羅列して業績PRするよりも、申請者のパーソナリティや哲学、アピールポイントをしっかりと披露してほしいということなだろう。 業績はあくまで「申請者のポテンシャルを測る指標の一つ」 というメッセージをこめて、業績の羅列はもう止めて、遂行能力を鑑みるために、各業績の経緯を書かせるようにフォーマット変えたのではないかと思う。 DCはそこまで業績重視されない時代なのかも しれない。 この改変は、学振が業績コンペ化しつつある現状を変えうる と思っている。M2~D1までの業績だけでは研究の資質なんてまだ分からない。学振を1つの...

EcologyのThe Scientific Naturalistsについて

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小泉研ブログで書いた内容 を 少し改定して、自分のブログに転載します。 2022年11月加筆:投稿規程が全体的に緩くなったらしく、 ドラフトは ダブルスペース・フォントサイズ12で12ページ以内に収めればいいらしいです。 このポストでは、ESAのジャーナルEcologyが2017年から始めたコーナーであるThe Scientific Naturalistについて紹介します。昨年自分の書いた論文がこのコーナーに載ったので( リンク )、せっかくなのでこのコーナーを紹介。 論文のスクショ。 ジャーナルに載る論文にはいくつかのタイプがあり、原著論文・短報・総説などに分けられます。これらはどの分野でも見られますが、生態学のいくつかの雑誌には、生き物のナチュラルヒストリー 注1 に焦点を当てることを目的としたコーナーがあり、例えばAmerican NaturalistにはNATURAL HISTORY MISCELLANY(原著と同様のボリューム)、ESAのFrontiers in Ecology & the Environmentが最近始めたEcopics(これは100wordsくらい)があります。ちなみに、The Scientific Naturalistは元々このFrontiersのNatural History Notesというコーナーだったようです。今はないが、かつてScienceにもBREVIAというコーナーがあり、これは分野は様々ですが、時々ナチュラルヒストリーの短い論文が載ってたようです( リンク )。分類群に焦点を当てたジャーナルの場合は、ナチュラルヒストリーの発見・記載が原著や短報として載っていることが多いですね。   EcologyのThe Scientific Naturalistはレター形式で字数制限が1500 words、図が最大2枚までで、内1枚は現象を描写したカラー写真は必ず入れる必要があります。データを乗せるかどうかは任意です。ちなみに投稿規定を読むと、 “Represent a scientific “aha” or “wow” moment (“I didn’t know that!”) in your own research”(訳:あなたの研究の科学的に「アハァ」「ワオ」な瞬間を示しなさい[私(エディタ)は知らんけど!...

2020年の学振についてPart1

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今回は2020年の学振DCについてのポスト。 小生はラストチャンスである2回目DC2(注)で採用が内定した。DCは過去2回落ちており、2回ともC判定、つまり不採用者の上位50%以下という低評価であった。せっかく採用されたので、これまでの道のりを振り返りつつ学振について書こうと思う。以下の文章は個人的感想をダラダラ書いてくので、このポストを読むと学振に通りやすくなるとかないです。若い人は、こんなやつでも 憧れ(笑) の キラキラ 学振になれるんだとエンカレッジされてください。 注 学振DCのおおまかな区別:翌年D1になる人=DC1、D1かD2の人=DC2、に応募できる。2回目DC2とは、D2で申請書を出して、D3から2年間特別研究員として採用に至った場合。 Part1(これまでの経験を書く) 採用に至るまで(申請書に落ち続けた落ち武者の話)     Part2(お役立ち?情報を書くつもり) フォーマット・採点が2020年から変わった話   Part3(学振採用後のことを考えてみた) 「学振採用=研究者としての成功」なのか?? 1.採用に至るまで(申請書に落ち続けた落ち武者の話) 修士時代(研究開始~DC1)  はじめて書いた研究費申請書はM1秋の笹川科学助成だった。10月中旬、何やらしかめっ面でパソコンと向き合っている友人は、笹川助成の締め切りに追われてるようだ。そういえばイケイケな先輩が笹川助成もらってたな、と思い出し、イケイケな研究者になるべく、笹川にチャンレンジすると思い立ったが、その時すでに、締め切りの4日前。頑張って書いたが、人に見せる間もなく不採用。   そしてM2のDC1一回目。研究内容は4月に考え始めた。内容が固まったのは4月中旬、初稿が5月にできて、ドクター・ポスドク・教員合計8人くらいに見てもらった。GW期間中にコメントを反映させて提出。そして10月C判定の通知。今見返してみると、アイデアは面白いが文や計画にかなり難があった。計画点が2.6(5点満点中)・研究資質・遂行能力が3.2くらいだった。中の下~下の中くらい? 立派なミヤマ 落ち武者の問題点 業績は埋まる程度にはあったので、特に少ないわけではなかった。最終的にポシャッたが、データもアイデアもそれなりにあった。 「これまでの研究」に共同研究を自分の研究として書いたのは、本当に...

Webinar、Youtube上での生態学・進化学セミナーについて

今年のコロナウイルス禍によってアカデミアは大きく変わりつつあります。変化の一つがセミナーのオンライン化です。 オンラインでの発表は顔が見えにくく、face to faceと比べて演者のキャラクターが伝わりにくかったり、演者としても聴衆のリアクションが分からなくてモヤっとします。あとはウケを狙ったときに笑い声・笑顔が見えないので、毎回冷や汗をかきます。。。 ウェビナーのメリットとしては、地方開催のセミナーでも多くの人に話を聞いてもらえること、地方に行かなくても気軽に参加できることです。 先日ウェビナーで話す機会があったのですが、80人くらいが聞いてくれました。また四国や東北の大学のウェビナーに参加してみました、こうした地方セミナーは、研究の裏話が聞けたり、気軽に質問できるので、学会発表とは違った魅力があります。自分も地方開催セミナーの世話人をしてますが、毎回20人くらいしか聞きに来ないので、多くの人が聞いてくれるのはありがたいことです。 もう一つのメリットとしては、主に海外ですが、セミナーをYoutube上で配信してくれることです。日本ではそれほど多くないけど、欧米のいくつかの大学や学会?が配信しています。以下に紹介。 Youtube上で海外のセミナを聞けるメリットは、言わずもがな無料で海外のレベル高い発表を聞けることです。僕のような英語が苦手で 英語力向上に使いたい学生にとっては、字幕昨日や速度変更などもとてもありがたい 。2倍速にした後に標準にすると、リスニングが少しうまくなった気がする 。 UM EEB YouTube ミシガン大学の Department of Ecology and Evolutionary Biology のチャンネル。登録者数が200人(20年10月調べ)しかいないのだが、個人的にはもっと有名になってもいいと思う。このご時世なので。若手の生態・進化生物学者のプレゼンが中心で、大御所(中立理論で著名なStephen Hubbell氏、群集集合の深見理さんなど)のプレゼンがあります。これはコロナ禍以前から存在しています。音質も画質もよい。 UCLA Department of Ecology and Evolutionary Biology これはカリフォルニア大学LAのチャンネル。セミナー以外の動画もあります。UM EEBはパワポの画面を共...