投稿

10月, 2019の投稿を表示しています

冬虫夏草の「坪」

イメージ
  冬虫夏草(広義)とは、昆虫に寄生する子嚢菌類の総称であり、日本では400種類くらいが知られているらしい。セミを食べるヒグマの研究をしていたら、セミタケ(下写真)がたくさん見つかるので、興味を持つようになった。 エニワセミタケ。宿主はコエゾゼミ こいつのキノコは形が非常に多様で興味深い。   超有名な冬虫夏草がシネンシストウチュウカソウといって、チベット高原でとれるらしい。夜のバイタリテーが増進する効果があるとかなんとかで、漢方薬としてとても高値でやり取りされている(楽天調べでは10gで4万円!!)。 「ヒマラヤのバイ〇グラ」 との呼び名も!最近乱獲と温暖化で数を減らしているらしい。涼しい地域なので温暖化に脆弱なのかな( https://www.pnas.org/content/115/45/11489 )。  近年では、セミの共生菌が冬虫夏草を期限として進化したこと?も分かったらしい。寄生菌が共生菌になったなんてビックリ。 リンク  冬虫夏草研究の中でも野外での生態についての研究は、非常にすくない。自分の知る限りでは、ブナアオシャチホコの大発生の終息要因の一つとして、サナギタケによるトップダウン効果が重要であることを明らかにした東京大学の鎌田さんの研究くらい。  研究が少ない理由はシンプルで、調査地でたくさんの個体数を安定して見つけることができないからだろう。前述のサナギタケの場合、シャチホコガの大発生が10年周期くらいなので、サナギタケの研究も10年に1回しかできないことになる。  冬虫夏草は「坪」と呼ばれる局所に集中発生することが知られているが、沢山の「坪」が見つかればいろいろな研究ができるに違いない!、と思っている(小並感) 集中してセミタケが生えている場所。たぶん距離が近い奴は同じセミから生えてるぞ!     日本冬虫夏草の会が出版している「冬虫夏草生態図鑑(生態の解説は少ないが、写真がすごい!)によると、権威である清水大典氏が「坪」をA~Dの4クラスに分けており、Aクラスが「毎シーズン冬虫夏草が発生する」、Dクラスは「犬も歩けば棒に当たる、のたとえ。濃密に歩いて幸運をつかみ取る(この言い回しかっこいいな)」といった具合らしい  なぜ「坪」ができるのかはよくわからないが ・理由1:宿主...