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昆虫寄生菌@高知

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 散歩してたら昆虫寄生菌がいくつか見つかった。 ツクツクボウシタケ(Isaria cicadae) ツクツクボウシに寄生するセミタケの一種。珍しく学名を持つ冬虫夏草の一種。高知県の山で発見。道沿いに5〜6個あったので、林内を丁寧に探すともっとたくさんあるだろう。冬虫夏草は特定の場所に集中する傾向があるので、一つ見つけると続々と見つかる。今回も一本掘り出してから、続々と見つかった。ちなみにこれは無性世代のようだ。有性世代はあまり見つからないようだ。 掘り出したセミタケ。 北海道で見てきたエニワセミタケよりも形が安定している。 本体は菌糸で覆われている 柄の数が10本以上と多いセミタケ ショウリョウバッタに寄生するバッタカビEntomophaga grylli? 散歩中に放棄耕作地で見つけた。ショウリョウバッタがバッタカビの仲間に寄生されているようだ。1m2くらいの範囲に10匹くらい見つかった。寄生するサイズはバラバラのようなので、特に性別や齢級による違いはなさそう。ハエカビの仲間は宿主を草の上に移動させ、そこで絶命させ、胞子を発生させる事で広範囲に胞子散布しようとするらしい。こういった宿主を植物の頂上に動かす寄生菌をSummit deseaseと呼ぶようだ(https://doi.org/10.1016/j.jip.2020.107398。あまり見た事ないけど、家から徒歩5分の耕作地で見られるとは。。。ショウリョウバッタは入手・飼育が簡単なので研究できたりしないかな。 メスのショウリョウバッタ 小型(オス?)

論文:捕食者恐怖下における種子散布

Gálvez, D., & Hernández, M. (2022). Ecology of fear and its effect on seed dispersal by a neotropical rodent. Behavioral Ecology , 33(2), 467-473. 捕食リスク下ではエサ動物の活動が制限されることはよく知られている。最近の生態学では野外で捕食者リスクがどういった空間分布をしているのか、行動変化の生態的な影響について、盛んに研究されている。恐怖にさらされるのが種子散布者であった場合、種子散布距離や効率に影響することが予測される。 この研究では、熱帯林において、捕食者(オセロット)密度の違いによって、齧歯類の種子散布パフォーマンスが変わるか調べた。高密度と低密度(ほぼ不在)の2地域での種子散布の実態調査・捕食者排泄物が近くにあると散布時間がどれくらい変わるかを実験した。 雨季と移行期では、オセロット高密度のサイトで種子が持ち去られるまでの時間が有意に長くなったが、乾季は有意差がなかった。種子散布距離は有意差はなかった。排泄物があると持ち去られる時間が長くなり、種子を置いたトラップの滞在時間が短くなった。 シンプルな実験で結果もクリア。捕食者密度の地理変異とシグナル実験を組み合わせるのは手堅い。埋める深度とか変わらないのだろうか。