セミとキツネ

2021年10月加筆:キツネのセミ食い論文受理されました!
Tomita, K. Camera traps reveal interspecific differences in the diel and seasonal patterns of cicada nymph predation. Sci Nat 108, 52 (2021). https://doi.org/10.1007/s00114-021-01762-w 

イソップ童話に「セミとキツネ」という話がある。

セミは高い木の上で歌っていました。キツネは、セミを食べたかったので、彼女はある企みを思いつきました。彼女は木の前に立ち、セミの美しい歌に驚いたふりをしました。そこで、キツネは、セミに降りてきて姿を見せて欲しいと頼みました。そして、キツネはこんなに小さな生き物が、朗々とした声で歌えるのは、神様が与えた才能なので、ぜひ会いたいといいました。しかし、セミはキツネの企みに気付いていました。

彼は、木の葉をちぎり、地面に落としました。キツネはセミだと思い、飛びつきました。するとセミは、「おい、僕がここから降りてくると思うなんて、馬鹿げてるぞ。キツネの糞の中に、セミの羽があるのを見てから、ずっとキツネには用心しているんだよ。」

キツネがセミを食うというのは、自分の調査地でも見つかっていて興味を持っているのだけど(下動画)、イソップの時代にすでに知られていたのかということにビックリ。( ゚Д゚)



キツネは木登りが意外にうまい、セミを下におろさなくても木に登って食えるのかもしれん。
キツネが食べるのはセミ成虫よりも幼虫が多いみたいで、Lovari et al. (1994)によると、イタリアの地中海性気候の森林では4月~7月のキツネの食性の40%くらいをセミ幼虫が占めていたらしい。

この動画が撮影された知床でもセミ幼虫入りのキツネフンが沢山見つかるんだけど、麻生大学の塚田さんの研究(Tsukada & Nonaka 1996)によると、1990年代はキツネはセミ幼虫を食べていないみたい。

セミ幼虫がはいったキツネフン

この地域ではヒグマがセミ幼虫を2000年くらいに食い始めたことが分かっているけど(Tomita & Hiura 2020)、キツネのセミ食いも最近はじまったのかもしれない。1990年代はキツネの昆虫エサは甲虫がメインだったみたいだけど、今はどうなんだろうか。セミ幼虫にとってかわられたりしているんだろうか。乞うご期待。。。

もちろんイントロは Although cicada & fox, a part of Aesop's Fables, implied predator prey interaction between fox and cicada, there are no detailed investigation ....からはじまる。



Lovari, S., Valier, P., & Lucchi, M. R. (1994). Ranging behaviour and activity of red foxes (Vulpes vulpes: Mammalia) in relation to environmental variables, in a Mediterranean mixed pinewood. Journal of Zoology232(2), 323-339.

Tomita, K., & Hiura, T. (2020). Brown bear digging for cicada nymphs: a novel interaction in a forest ecosystem. Ecology101(3), e02899.

Tsukada, H., & Nonaka, N. (1996). Foraging behavior of red foxes Vulpes vulpes schrencki utilizing human food in the Shiretoko National Park, Hokkaido. Mammal Study21(2), 137-151.





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