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高知雑感①:食

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 4月に高知に引っ越してから早2週間。ぼちぼち新しい環境に慣れてきたので雑感を。 A)鮮魚 素晴らしいの一言に尽きる。自分は佐賀出身だから西日本の代表的な魚種は食べてきたけど、高知は西日本の典型的な種類(アジサバタイ、イサキなど)に加えて、変な魚が普通のスーパーに売っている(下図)。 高知で見つけた魚の一部(どろめとか沖うるめは載せてない) マンボウ腸や鰹心臓など他地域では廃棄されてそうな臓物系も普通に売っている。マンチョウはとても美味しくてびっくりした。興味深いのが、これらのいわゆるゲテモノは割と高価であることだ。関東や北海道ではゲテモノは安く売られているのに、高知では身と大して変わらない値段で店頭に並んでいた。 他の例を挙げると、私の幼少期からの大好物であるカツオのハラミは茨城のスーパーでは中骨と同じくらいの値段で売られていたが、高知ではタタキくらいの値段で売られていた!(安いことも好きな理由だったから手が出にくい。。。) この原因は高知県民は、関東や北海道の人々よりも魚の食べ方をよく知っているからだろう。実際に干物等加工品の量も他県とは比べ物にならない。 北海道は美味しい魚は多いけど、食べ方が豊富というよりは鮮度に任せている印象。とりあえず海鮮丼・回転寿司ってイメージ。まあいいけど。 高知に住んで初めて知ったけど、天然ブリが相当水揚げされているらしく、鮮魚コーナーには大量の切り身や柵、カマが並んでいる。四国の養殖ぶりは北海道でもよく見たけど、天然物は高知で初めて見たので現地・隣県で消費しているんだろう。味はもちろん最高で、値段も安い。 高知の魚で外せないのは当然カツオだ。刺身コーナーには大量のたたきが並ぶ。面白いのは、カツオが高知で水揚げされてない時期には鹿児島など他地域から鰹を仕入れている補っているということだ。恐るべし高知のカツオ愛。。。(4月15日:ついに初鰹上陸!) 先日も研修で知り合った教授の方から美味しいお店を教えていただいた。 鮮魚コーナーを見て回るだけでこうした文化の違いが感じれるのは、スーパーに行くたびに鮮魚コーナーを綿密に観察しニヤけてきた自分の性癖の産物である。 B)フルーツ・野菜 柑橘が安くてうまい。特に土佐文旦はコスパ最強。10玉で1000円くらいで売られているし、余った皮は風呂に入れたりマーマレードにする。 高知といえば柚子...

How do you split into or combine with your data to make research paper?

はじめに 仮説検証型の研究をおこなう場合、取得したデータのほとんどを使って仮説を検証し、論文を執筆する。 だがしかし、実際のフィールド研究ではとりあえず目的を設定して、データを取ってから、ストーリーを考えて論文を書くことが多い。表向きは仮説検証のように見せかけている論文も実際は後付け仮説検証になっていることが多いだろう。 そのような場合考えなくてはいけないのは、手元のデータをどれくらい、どのように使って論文を書くかである。手元に5個の関連しあった図がある場合、 すべて使って1本の論文を書く 2個・3個使って2本書く。 1個づつ使って5本書く。 など様々な選択肢がある。この組み合わせと数を決める作業は実はとても大事である。冗長にデータを使ってしまう、たとえば図を増やしても論文のメッセージが変わらない場合、折角3本分の論文になるデータ達が1本にしかならないことがあったり、データ総動員すれば素晴らしい論文になるのに、小分けにした結果、引用されないような小さな論文が沢山生まれるだけで、ハイインパクトな論文を世に残すチャンスを逸してしまうこともあるだろう。 てことで今回は、仮説を持たずに蓄積してしまったデータをどのように切り分け・組み合わせて論文を作っていくべきかについて、筆者の体験を踏まえて考えていきたい。 実体験 修士1年から博士1年の3年間、「セミ幼虫を食べるヒグマ」という面白そうな自然現象に注目し、地道なフィールドワークによってデータを集めてきた。博士1年の途中から論文を書き始めたのだが、修士のころは自分の取ったデータで論文を書くということを考えてなかったため、頭の中には「この現象を理解するためにデータ化したい!」ということしかなかった。仮説を考えずにシンプルな行動原理のみで動いていたこと・じっくりと観察してから調査方法を考えたことが幸いしてか、割とたくさんの興味深いデータが明確な方法に従って集まった。なので、うだつが上がらない修士時代に比して、D1から複数の論文を書き始めることができるという割と充実した状態にあった。 どのようにデータを分割・結合して論文を書くか、について選択肢は2つあった 全てのデータをまとめて、ヒグマのセミを食べる行動について網羅的な論文を1本だけ書く。 データを基に後付け仮説・目的をいくつか造り、それに従ってデータを分割・組み合わせ複数の論文を...

クマが人里へ出没する理由

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 6月18日にヒグマが札幌市東区の市街地に出没、計4名を襲ったという事件があった。人にアタックする動画がニュース・SNSで報道されたので、多くの人がこの事件にショックを受けただろう。SNSを見てると、なぜこのような事件が起こったかの原因をあれこれ考察する投稿が相次いでいる。原因解明は大事だが色々な可能性があるので、とりあえずは、出没が起こった時の対応などを市民に普及啓発することが大事だろう。メディアが車でクマを追いかけたりしてたが、あれは絶対にやってはいけない行動だ。 とはいっても、ヒグマが人里に出てくる理由を明らかにすることは、ヒグマと人の共生を考えるうえで最も重要であり、国内外で多くの研究が進められてきた。このポストでは、2014年にスカンジナビアのヒグマ研究者がクマの人里出没のメカニズムについてまとめたレビュー論文の内容に沿って、出没の理由について考えてみる。 Elfström, M., Zedrosser, A., Støen, O. G., & Swenson, J. E. (2014). Ultimate and proximate mechanisms underlying the occurrence of bears close to human settlements: review and management implications.  Mammal Review ,  44 (1), 5-18. この論文ではヒグマの人里出没の内的メカニズム (注) の仮説を4つ挙げている。①人馴れ(Human habiruation hypothesis);②人為的なエサを求めて人里に近づく( food-conditioning hypothesis );③人と接した経験が欠如している人里付近の若いクマが出没する( naivety hypothesis)の3つがあげられている。 (注)ヒグマそのものに注目したメカニズム。里山管理放棄や人の生活圏が森林と近くなった、といった理由はここでは述べていない。 4つ目は、特定の性や齢、繁殖状態(子連れなど?)の個体に偏って出没することを説明する④” despotic distribution hypothesis”というものらしい。 捕食回避や干渉型競争などの結果こういった偏った...

ドキュメンタリー映画「東京干潟」の感想

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ドキュメンタリー映画「東京干潟」(監督・製作村上浩康さん)の感想。 HP(https://higata.tokyo/)より転載 この映画は、多摩川の河口干潟でシジミ捕りで生計を立てているホームレスのおじいさんが主人公のドキュメンタリーだ。おじいさんは川の土手の小屋で15匹の猫と暮らしており、ほぼ毎日干潟でシジミを5㎏くらい獲って、それを売った金で食事と猫のエサを買っている。貯金はなさそうで、その日暮らしの生活スタイルである。 映画は基本的におじいさんのシジミ捕りと村上監督との対話形式のインタビュー、かわいいネコ達、時々カニから成るとてもシンプルな内容である。前半はシジミ漁を中心に、おじいさんの一日の生活の様子が描かれている。大きいシジミのみを捕まえるためのシジミ漁法を開発しており、泥に手を突っ込み、指を開く間隔を調整することによって、大きめのシジミだけを捕まえている。さらに、捕まえたシジミを粗い目のざるに通して、ざるにかからない小さいシジミを取り除いて、河に返している。「大きくなって帰ってこーい」と言いながらシジミを川に投げる姿は、自然と共生して暮らしていくことを本当に大事にしていることが感じられる、前半の見どころである。 猫については15匹すべてに名前を付けており、区別もできているらしい。子猫の時に家出して3年後に戻ってきた猫のことも覚えているほど猫識別が熟達している。おじいさんが住んでいる場所は猫を捨てに来る人が多いらしく、時々捨てに来た人に注意したりしているらしい。収入が少ないにもかかわらず、ここまで猫の面倒見る理由を聞かれても「そんなものはなくて、猫たちには生きる権利がある」と言い「こいつらが生きているうちは俺も死ねねぇんだ」という発言には、猫への深い愛情が感じられる。 ほのぼのしている前半と変わって、後半は割とシリアス(といっても淡々としている)で、東京オリンピックのための道路拡張に伴う橋の建設による干潟地形の改変や、漁師によるシジミの乱獲などがおじいさん視点で描かれる。また、テレビなどで多摩川河口の干潟が取り上げられ有名になってしまい、市民が沢山潮干狩りに来るようになったことも士事務減少に関わってそうだという。決して製作者の意図をもって批判的に見せることはなくて、あくまでもおじいさんの口から開発や乱獲への思いが語られる。漁協とは結構ケンカしたらしいが、橋...

【超長文】ナチュラルヒストリー研究の社会的インパクト-Altmetricsに注目して-

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普通、学術論文は引用数がその価値を表す数値とみなされるが、引用数は出版後の長い時間かけて増えていく。しかしせっかちな我々は研究のインパクトを早く知りたい。てことで短い期間でのインパクトの指標としてAltmetricsが使われている。簡単に言えばAltmetricsは、SNSやWikipediaなどWebメディア上で論文がどれくらい話題に上がったか、どれくらいダウンロードされているか、などをメディアのタイプごとに重み付けしてスコアリングした指標である。ま、俗っぽい言い方をすると、研究の「バズり」の指標ですね。 論文そのものの学術的なインパクトを直接表しているわけではないが、インパクトがある研究は社会的にも目立ちやすいから、引用数とはおおまかには相関するらしいです。また、SNSやニュースでは出版直後がもっとも話題に上がるので、 出版後すぐに伸びるAltmetricsは出版後時間をかけてじわじわと伸びている「引用数」と相補的な関係 にあると考えてもいいでしょう。しかしながら、「SNSでバズる研究=学術価値の高い論文」とは限らないので、Altmetricsを引用数同様に解釈することは安直です。あくまで社会的なインパクトという解釈に留めるのが、適切な使い方だという指摘もあります。 Altmetricsに影響する学術的インパクト以外の要因としては、著者がSNSやっているかどうか(Wardle 2016)・分野(Costas et al. 2015)などもあるみたいです。分野間でジャーナルのインパクトファクターの平均が違うことと同じ理由なのでしょう。著者がSNSでアクティブかどうかは確かにAltmetricsに影響しそうですが、SNSのリツイートやシェアはスコア配分が低いので、100オーダーのスコアの場合はそれほど関係ないかもしれません。 このように、一見将来の引用数を反映しているように見えるAltmetricsは、実はそれ以外の要因によっても変わることが分かってきており、 Altmetricsスコアは学術的なインパクトを反映するのか?という研究テーマ が近年爆誕したらしいです(Costas et al. 2015)。最もシンプルなものとしては Altmetricsスコアと引用数は相関するのか? といったクエスチョンを調べるようです。 学術的インパクト(引用数)と社会的インパクト...

Low costなクマの行動の調べ方。

クマのような単独性で森にすむ大型哺乳類の行動を調べるためには、直接観察では難しい上、危険が伴う(河口でのサケ食いが数少ないチャンス)。 だからと言ってクマを捕まえてGPS首輪つけてトラッキングするのもめちゃ大変だし、金がかかる。実際に多数のクマを捕まえてトラッキングしている地域は、海外だとイエローストーンとかアラスカ、スカンジナビアくらいで、国内だと長野・日光(ツキノワ)・知床(ヒグマ)くらいなものだろう。 特に日本だと欧米と比べて大型哺乳類研究の基盤が整備しにくいので、直接観察なし、かつ捕まえずにクマの行動を調べる方法(non-invasive・非侵襲的とか言われる)について考えてみるのは有意義だろう。非侵襲的アプローチを理解・活用していくことは、クマの生態研究が中央集権化して、多様性が低いような状況を少しでも改善するかもしれない。 てことで、このポストでは非侵襲的方法でクマの行動を調べたいくつかの研究についてまとめて、有効なアプローチを考察してみる。今回は非侵襲的アプローチでも自動撮影カメラは除いているので、実質的には痕跡調査による行動研究ということになる。 1)木を見る クマはマーキングのために背中を樹木に擦り付けたり、林冠のエサを食べるために木に登る。背こすりされた木は痕跡としては明らかなので、マーキング行動を調べるためにしばしば使われる。木に登る時に爪痕が樹皮に付いたり、林冠にクマ棚が残るので、これらの痕跡を調べることで採食行動を調べれる。 木を調べる方法は、オーソドックスな毎木調査に加えて、記録する項目にクマの痕跡データが追加される感じで調査される。樹種同定と痕跡発見さえできれば誰でも実行できるし、サンプルサイズが稼ぎやすいという利点がある。数人で計測したら1000本単位でのデータが簡単に取れる。 Clapham et al. (2013). The function of strategic tree selectivity in the chemical signalling of brown bears.  Animal behaviour ,  85 (6), 1351-1357. この研究では、ヒグマはどういった樹種を選んでいる背こすりしているのかを木の残された背こすり痕跡から調べている。全体的に目立つ木(レア種・DBHが大き...

生態学会2021 with オンラインの振り返り

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 2021年3月17日~21日に第68回生態学会岡山大会が開催されました。岡山大会ですが、コロナ対策のために完全なオンライン開催です。実行委員会に岡山大学の方が多かったことが唯一の岡山色でした。現地でキビ団子食べたかったな~。実行委員会の皆様、大変な状況の中にも関わらず、とても楽しい学会を作ってくれて本当にありがとうございましたm(_ _)m 他の大きめの学会はシステムエラーなどでうまくいってないと聞いてたので不安もありましたが、実行委員会の皆様のおかげで大きなトラブルなく無事に終了しました。成功した要因としては、学会サイドはあくまで会場を準備・提供する役割を担うことに徹し(それだけでもめっちゃ大変だと思う。。。)、個別の発表については発表者に任せたことに尽きると思います。 自分はポスター参加だったので、オンラインポスターを中心に振り返ります。 発表者はConfitというシステム上に個人スペースを与えられて、コアタイムのズームリンクやポスターのアップロードは発表者が自分で用意するというスタイルでした。オンライン化してから1年くらい経っているので多くの人はズームやファイルアップロードに慣れてきたと判断して個人に任せれると考えたのでしょうか。これは素晴らしい判断で、オンラインポスターでうまくいってない人はほとんどいないように感じた。もちろん、失敗した人もある程度はいるだろうけど、対面でもポスター忘れたりする人いるし。。。 個人ページの例、真ん中に要旨 左に各リンクに飛べるタブ・右にスポンサー企業 Confitというシステムは初めてだけど、シンプルで使いやすいのが利点だった。シンプルながらも、自分が聞きたい講演リストを作れる「スケジュール」やSNSのような「いいね!」など、オンラインならではの機能が使えることが良かった。自分の講演に「いいね!」くれた人が見れるので、ポスターを見にきてくれた人を確認できるようになった。 コアタイムは知り合いが3人しか来なくて残念だった。2日目のコアタイムに聴き手として参加してみて感じたが、知らない人が待ち構えているズーム部屋に入ることは割と勇気がいる。対面であればポスターの横にプレゼンターが居るので{コアタイム中にポスターを読む(≒近づく)=プレゼンターと目が合うー> ポケモンバトル 「説明しましょうか??」}の流れだが、オン...